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2024/04/19 20:43 |
「こんにゃく田楽」と「行雲流水」
●むこう向きのおっとせい その53

ヒゲ先生が亡くなって2週間。
まだヒゲ先生がいなくなったことがピンとこない。
 
いま、天文教室にはヒゲ先生の写真と遺骨が置かれている。
教室に入るとヒゲ先生はいつもの笑顔で私を迎えてくれる。
 
しかし写真の下には小さな骨になったヒゲ先生がいる。
 
やはりここにはいないのだと思い知らされる。
 
 
 
25年ほど前、とてつもなく落ち込んでいた私を見て、
ヒゲ先生が一緒にご飯を食べようと声をかけてくれた事がある。
 
ヒゲ先生がそんな事をするというのはまずないことで、私の様子がよほどおかしかったのだろう。
 
部屋に入るとコンロに鍋がセットされていて、こんにゃくがお皿にたっぷりと置かれていた。
 
他には、何もない。ただこんにゃくがあるだけ。
 
余り話さない私を相手に、ヒゲ先生はたわいもない事を話し続ける。
 
ビールを飲み、お酒を飲み、そしてひたすらこんにゃくをゆで、味噌をつけて食う。
 
 
「こんにゃくだけではさすがに寂しいな。」とヒゲ先生が苦笑いしながら言った。
 
 
その時、ヒゲ先生の私を思いやる気持ちが痛いほど伝わって来た。
 
 
別れ際、ヒゲ先生は紙に筆で「行雲流水」と書いて、笑顔で私に手渡してくれた。
 
 
「こんにゃく田楽」と「行雲流水」
再び前を向いて歩き出す事が出来た。
 
 
死者を死せりと思う無かれ
生者のあらん限り
死者は生きん 死者は生きん
                                     ゴッホ
 
 
ヒゲ先生は目の前にはいなくなったけど、
もしかしたら今まで以上に身近にいるのかもしれない。
 
 
ではまた。
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2010/11/08 14:48 | Comments(0) | TrackBack() | むこう向きのおっとせい・・・真也のブツブツ

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