上の写真、右の白いものはミルクキャンディー、左の薄茶色は…
うちの家内が長年かけて胆のうで育ててきた胆石である。
長径25mmよくもここまで立派に、と思われる大きさである。
手術後お医者さんがタッパウェアーの容器に入れて「どうぞお持ち帰り下さい…。」とプレゼントしてくださった。
前日(22日)に手術についての説明が主治医からなされた。(ご家族の方同伴でと念を押された。)
1 全身麻酔する。
2 腹腔鏡手術といってお腹に4箇所小さな穴をあける。
3 内視鏡と作業用の小さな器具を穴から入れ胆石を胆のうごと摘出する。
といった手順の説明と、それぞれ可能性は低いが起こりうるリスクについて細かに解説された。
「麻酔後、何の問題もなく順調に進めば手術自体は90分間から長くて120分間だと思ってください。」
若くはあるが聡明そうでにこやかな主治医に、「では、よろしくお願いします。」とご挨拶して説明を聞き終えた。
手術当日(23日)午前8時55分、家内はどこか緊張の面持ちはあるものの、元気に手を振りながら手術室の銀色の扉の向こうに入っていった。
手術中家族は控え室で待つこととなる。そこは外の景色が大きく広がる明るい場所だ。
家内の実家の母とふたり、気軽で明るい会話をはずませながら約2時間、時計は午前11時。
僕の時間読みからすれば「手術が終わりましたよ。」と看護師さんからの声が掛かる最速の時刻だ。
信号待ちしているとき、赤信号があと何秒で青に変わるか…根拠もなく予想を立て秒読みを開始し、まれにピッタリあたると、「さすが僕。」などと悦に入ることがある。この朝も「あと10分」「あと20分」と分読みを始めた。
しかし控え室に近づく足音は残念ながらすべてがうちには無関係のものばかりだった。
正午、午後1時、午後2時…
家内が手術室に入って5時間が過ぎた。
ただごとでない何かが家内の身に起こっているのだ。
詰め所に事情を尋ねに行ったが手術の詳しいことは何も判らない。
時計の針が進まない。
銀色の無機質な扉から出てくるとき、すでに家内の命は尽きているのではないか…
手術室での主治医や看護師の慌てた情景が僕の頭で渦巻く。
手を振りながら別れた場面が鮮明によみがえる。
かけがえのないものを思い、祈った。
祈りが通じたのは3時だった。
「胆のうを摘出した際、肝臓からの胆汁の漏れが止まらず、やむなく開腹せざるをえなかった。
お待たせしました…。」
説明を聞きながら、主治医もやはり6時間格闘してくださったのだと思った。
なにはともあれ生きていた。
失わずにすんだ。
今日はおれるだけ横にいてやろう、そう思った。
感謝
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やんちゃな坊主頭をたくさん連れていて、さぞ先生もびっくりされたんじゃないでしょうか(笑)
ふとそれで思い立ってアクセスをしました。
あの日お元気に挨拶させていただいた奥様、今は安静中なのですね。
順調な回復をお祈りしております。
あの後、息子たちに「あのひと誰?」と聞かれたので「お母さんがとってもお世話になった先生。そのうちあなたたちもお世話になるんじゃないかしら」と答えておきました。
小豆島、懐かしいなぁ。