森山’s Honey Bucket 78
実験学校の二日目の朝のフィッシングで…
一人の男の子が
「釣竿が壊れたから直してほしい…。」とやってきた。
職員として釣りの行事に何度も関わる立場なのに、
僕は全くといっていいほど釣りのことを知らない。
釣り針や浮きの付け方も、
どんなタイミングで竿を引き上げるのかも、
魚からうまく釣り針を外す方法も、知らないこと尽くめだ。
加えて、子どもたちが釣り上げた魚の名前も知らず、
「先生この魚何?」と尋ねられても、
「さ~て、何やろ?○○かなあ??」と、自信をもって答えられたためしがない。
子どもが上手く魚を釣り上げれば、一緒になって喜び騒ぐ。
だが、専門知識ゼロでなので、肝心なところで何一つ子どもたちの役に立てない。
これが釣りの時間のいつもの僕だった。
そんな役立たずの先生であることを知らなかったのだろう、
○○君は、釣り糸がリールに複雑にからんで、にっちもさっちも行かなくなった竿を、
僕に託すべく近づいいて来たのだ。
いつもの僕ならば、即、他の先生を紹介して
100%責任逃れをしてしまうのだが…。
釣りをしたい一心でわざわざ「マイ釣竿」を持参した彼の、
なんとも言えぬ困り顔が気の毒に思えてきて、
いつもの「責任逃れ術」を用いる気が失せてしまった。
ひとまず絡まった糸・リールとめっこしてから、試行錯誤を始めた。
そして、思い切って部品の一つをはずしてみることにした。
(もし竿を修復不可能な程に破壊してしまたらどうしよう…そんな思いが頭をよぎった。)
しかし意を決して部品を外してみたことで、解決の糸口がつかめた気がした。
次の部品もはずしてみた…慎重に、慎重に。
何とかなりそうだ…。
それなりの時間は要したが、やっと修繕が完成した。
とても嬉しかった。
「お~い○○くーん、直ったで!!』遠くにいた彼に向かって叫んだ。
彼は走り寄ってきて、何とも嬉しそうな笑顔で
「本当?ありがとう。」と言ってくれた。
人の役に立つってこんなことやなあ…
今まで自分が避けてきた領域で、人に喜んでもらえる役割を担えた…
とても充足感を得ることができた。
そんなやりとりを見ていたのかな?林先生(釣りの達人)が僕に声を掛けてくれた。
「これからは釣竿の故障修理は森山先生に任せよう!」と。
達人からも褒めてもらえたんだ!
人は褒められて伸びる(笑)。
「言うてや!何でもやりまっシェ。」
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