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2024/11/05 02:55 |
人の役に立つ
森山’s Honey Bucket 78


 実験学校の二日目の朝のフィッシングで…
 
 一人の男の子が
「釣竿が壊れたから直してほしい…。」とやってきた。
 
 職員として釣りの行事に何度も関わる立場なのに、
僕は全くといっていいほど釣りのことを知らない。
 
 
 釣り針や浮きの付け方も、
どんなタイミングで竿を引き上げるのかも、
魚からうまく釣り針を外す方法も、知らないこと尽くめだ。
 
 加えて、子どもたちが釣り上げた魚の名前も知らず、
「先生この魚何?」と尋ねられても、
「さ~て、何やろ?○○かなあ??」と、自信をもって答えられたためしがない。
 
 子どもが上手く魚を釣り上げれば、一緒になって喜び騒ぐ。
だが、専門知識ゼロでなので、肝心なところで何一つ子どもたちの役に立てない。
 これが釣りの時間のいつもの僕だった。
 
 
 そんな役立たずの先生であることを知らなかったのだろう、
○○君は、釣り糸がリールに複雑にからんで、にっちもさっちも行かなくなった竿を、
僕に託すべく近づいいて来たのだ。
 
 
 いつもの僕ならば、即、他の先生を紹介して
100%責任逃れをしてしまうのだが…。
 
 
 釣りをしたい一心でわざわざ「マイ釣竿」を持参した彼の、
なんとも言えぬ困り顔が気の毒に思えてきて、
いつもの「責任逃れ術」を用いる気が失せてしまった。
 
 
 ひとまず絡まった糸・リールとめっこしてから、試行錯誤を始めた。
 
 そして、思い切って部品の一つをはずしてみることにした。
 (もし竿を修復不可能な程に破壊してしまたらどうしよう…そんな思いが頭をよぎった。)
 
 しかし意を決して部品を外してみたことで、解決の糸口がつかめた気がした。 
 次の部品もはずしてみた…慎重に、慎重に。 
 何とかなりそうだ…。
  
 それなりの時間は要したが、やっと修繕が完成した。
 
 とても嬉しかった。 
 
 
 「お~い○○くーん、直ったで!!』遠くにいた彼に向かって叫んだ。
 
 彼は走り寄ってきて、何とも嬉しそうな笑顔で
 「本当?ありがとう。」と言ってくれた。
  
 
 人の役に立つってこんなことやなあ… 
 今まで自分が避けてきた領域で、人に喜んでもらえる役割を担えた… 
 とても充足感を得ることができた。
 
 
 そんなやりとりを見ていたのかな?林先生(釣りの達人)が僕に声を掛けてくれた。 
 「これからは釣竿の故障修理は森山先生に任せよう!」と。 
 達人からも褒めてもらえたんだ! 
 
 人は褒められて伸びる(笑)。 
 
 「言うてや!何でもやりまっシェ。」
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2011/04/28 23:00 | Comments(0) | TrackBack() | 森山's Honey Bucket

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