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2025/04/21 10:28 |
「ごめんね。」「ありがとう。」
 森山’s Honey Bucket  33
  
 本日より大阪のT中学校の「星くずの村」理科実験合宿が始まる。
 
 大阪の名門私立中学の1年生220名程がこの時期に「星くずの村」で実験に取り組んでくれるようになって早や十余年。学校が、一私塾の施設を活用し続けて下さることに感謝しつつ、今年出会う多くの子たちにも、きっときっと喜んで帰ってもらえるよう、力を尽くしたい。

 「化学薬品の怖さ」「金貨銀貨つくり」「花火作り」…化学実験
 「LEDを使った光実験」…物理実験
 「○○○の解剖実習」…生物実験
 「天体観測」…天文実習
 
 上の実験の多くは子どもたちが「星くずの村」を訪ねてくれるからこそ体験できる実験・実習である、と自負している。
 
 僕は長年「○○○」の担当をさせていただいている。
 
 しっかり麻酔を効かせ、○○○自身が痛みを感じることがないようにしている。
とはいえ、もと通り元気に◎◎まわる○○○に戻してあげることは出来ない。
まさに「生きた命」をいただいての実習である。
 
 世の中には解剖そのものが「命を冒とくする行為」だとして実習に強い異論を唱える方々があると聞く。多くの公立小中学校で解剖が行われなくなっているのはそうした意見に対する配慮だと思われる。
 
 しかし僕の経験から、解剖実習に参加した子たちが「命を粗末に扱っている」と感じたことはただの一度すらない。
 彼らの取り組みは真剣そのもので、「いのち」あるものから「いのち」をいただきながら実習していることをしっかり意識していると僕には確信できる。また彼らは亡くなりゆく者に対し大きな感謝の気持ちを確かに持ってくれている。
 学園長の言葉どおり、「命」そのものと向き合い、「命」について考える子らもそこにはきっといるはずだ。
 
 
 一方学問的にも、○○○のまだ未発達な肺のつくり・皮膚呼吸のための毛細血管網・胃袋のひだ・生理食塩水の中で拍動を続ける心臓・腸の毛細血管と腸間膜・眼球のガラス体・脳の小ささなどなど、決して教科書のカラー図解だけからでは学び得ないものが、そこには詰まっている。
 
 
 一所懸命に指導に努め、「解剖」という行為の是非については、子どもたち自身(彼らが大人たちになってからでも構わない…)に判断を委ねることにしたい。
 

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2010/06/17 01:00 | Comments(0) | TrackBack() | 森山's Honey Bucket
ホタル
森山’s Honey Bucket 32

夏至に向かうこの時期の夕方の空が好きです。
この季節の暮れ方の空気に包まれることも好きです。
 
 その理由は……
 
 
 まだ子どもが小さい頃から、ほんの1~2年前まで、我が家では毎年この時期に
「ホタル」を観賞しに出かけてきました。
 子どもが高校生~大学生にもなると、家族皆の都合を調整し合うのがたいへんになりました。
しかし、できるかぎりそろって出かけ、「ホタル」に会ってきました。
 
 
 草丈を伸ばし始めた稲を揺らして涼やかに風が流れ、宵の空が美しい色に染まります。
辺りが何とも平和でかつ豊かな空気に包まれます。田舎のいいにおいがします。
カエルの合唱も風景にピッタリ。
 
 やがてゆっくりとやさしく闇が近づき、川面が土手の草と見分けられなくなるころ、
草の中に控えめに「ホタル」は姿を現します。
 はじめは「あそこで光った。」「こちらで光った。」とキョロキョロしながら光を探していますが、
その数がどんどん増えると一つ一つの光を追いかけることは出来なくなります。
 
 もちろん毎年「ホタルの乱舞」に出会えるわけではありません。
しかし、今まで幾度かはたまげるほどの「乱舞」に出くわし、酔いしれることができました。
 
 (おそらくは)何千を超える数のホタルが飛び交う光景は心に染み入り、決して消えることはありません。
清流沿いの土手を歩くうちに「ホタル」が肩にとまったり、合わせた両の手のひらの中にホタルが入って、
指の隙間からその光を覗いたりしたこともありました。
 
 そんなわけでいつしかこの季節夕空を眺めると、それがたとえ都心のビルの合間に広がる空であっても、
心の中ではそれがホタル飛び交う田舎の夕景と重なるのです。
 
 今年は都合がつかず「ホタル観賞」は諦めていましたが、週末に実施される「星くずの村」実験学校の
行事で小豆島のホタルに出会えるチャンスが与えられました。
楽しみです。 
 
 
PS 
 我が家の「ほたる」観賞で一番のお気に入りの場所は、兵庫県作用町にある秋里川地区でした。
地域の皆さんの並々ならぬ努力の賜物として川に多くのホタルが戻るようになったのだと聞きました。
何度かお訪ねし、その都度「乱舞」でした。
 1年でもその時期にしか訪れることのないいわば「一見さん」であるわれわれを、地域の方はたいへん親切に迎え入れてくれたことも好印象でした。
 
 しかし残念ながら何年か前の台風と昨年夏の集中豪雨で、この地区は2度も大水害に見舞われ、村の方々の誇りでもあった「ほたる」はこの先十数年、姿を見せないだろうとも聞いています。
村の方もホタルも早く元気になっていただきたいです。


2010/06/10 04:00 | Comments(0) | TrackBack() | 森山's Honey Bucket
「よしっ。」
森山’s Honey Bucket 31

本人にとっては何気ない行動が、ときに他人に大きな印象を残す場合がある。
それは素敵なことでもあり、逆に恐ろしいことでもあるのが…。
 
 
 中2理科授業で軟体動物イカの解剖実習をした。一昨日のことだ。
解剖実習に使ったスルメイカは折角なので毎回食べることにしている。
今回はスパゲティーにした。
麺は7分間茹でたが、時間の都合もありソースは市販のレトルトを使用した。
ひとつ目の任務を終えたイカはまず炒められ、ソースに次に麺にからめられた。
イカ入りミートスパゲティーの完成!
 
 
 普段あまり勉強熱心とは言えず、従って今のところ成績は芳しくない、
そんな女の子を預かっている。
(本人曰く「今回の中間テストは自分なりにはよく取り組んで成績も上がった。」とのこと、ちょっと笑みさえ見えるのだが…)
 
 
フライパンの中で美味しそうに湯気を上げているスパゲティー。
「さあ熱いうちにいただきなさい!」と僕が言うと。
「先生は食べへんの?」と彼女。
「う~ん、ほなちょっとだけ・・・いただこうか。」
 
 
気がつけば、彼女はその日のスタッフ全員分のスパゲティーを小皿にたいへん美しく盛り付け、仕上げにフライパンの中のソースやイカの身をスプーンですくい取ってはそれぞれの皿に見栄え良くかけてくれていた。丁寧で心のこもった仕草に見えた。
 
スタッフ皆美味しくいただいた。もちろん子どもたちも喜んでくれていた。
 
ごちそうさまの後、最後に「片付けタイム」となった。
僕は彼女の片付け振りを自分の片付け仕事の傍ら見るとはなく見ていた。
彼女は色々な洗い物をこなしたあと、机の拭き掃除に移った。
 
感心した。
 油が飛び散っていたからかもしれない。イカのにおいは独特で取れにくかったからかもしれない。彼女は幾度も幾度も机を拭き直してくれていた。そして最後に水周りに飛び散っていた水しぶきも丁寧に拭いてから、小さく「よしっ。」と言った。少なくとも僕にはそう聞こえた。
 完璧だ…。
 
 失礼ながら、こんな行き届いた仕事振りは、平素の英語・数学といった科目の勉強のときにはお目にかかったことがない。
 
 
 塾なのだから、成績を上げる手伝いをし、その結果としてそれぞれの子たちに「自信」を獲得してもらうことが、求められる大きな仕事である。日々それを忘れたことはないつもりだ。
 しかし、いわゆる成績以外のことでも、それぞれの子たちがキラリと光り輝く場面に出会えると何だか嬉しくなる。その子の大切な一面として、新たに印象にとどめることができるし、素敵な人なのだと肯定できる材料を増やせるからである。
 
 その日の彼女の行動は確かに彼女を輝かせていたし、そばにいた僕を素敵な気持ちにさせてくれた。

2010/06/03 00:12 | Comments(0) | TrackBack() | 森山's Honey Bucket
信念
森山’S  Honey Bucket 30

夏合宿。藤原学園は「3㎞の遠泳」を実施していた。残念ながら過去形である。

 

瀬戸内海に人喰いサメが現れ複数の漁師が犠牲になる痛ましい出来事があった。専門家は「黒潮の流れの一部が瀬戸内海に入り込んだことが原因で、今後もサメの出現が続く可能性がある。」と説明した。大切な子どもたちの「命」には代えられない。遠泳は中止を余儀なくされた。

 

 

3㎞とは「星くずの村」眼下の古江浜から内海湾の彼方に浮かぶ弁天島までの往復である。しかし多くの場合潮流の影響で最短コースを泳ぐことはできず、誰もが3㎞よりもっと長い距離を泳ぐ結果になった。

 

遠泳隊の先頭は司令塔「伝馬船」。潮風にはためく「頑張れ藤原学園遠泳隊」の(のぼり)と、力強く打ち鳴らされる太鼓のドーンドーンという響きが、挑戦者たちに進むべき方向を示す。救命具を積んだ先輩の漕ぐボートが多数、隊列の左右で伴走する。

泳がない同期生たちは、乗り組んだ漁船から声を限りの声援を送り続ける。

 

泳ぐ者にとっても、応援する者にとっても、「遠泳」はまさしくドラマだった。

 

 

 その年…

 

 B君は泳力測定「評価C」。この泳ぎ方では完泳はとてもありえないと思える様子だ。

しかし彼は「遠泳をするために合宿に来たのだからどうしても挑戦したい。させて欲しい。」と村長に直談判した。

※遠泳前日に必ず実施される泳力測定で、AA’Bと判定された者は参加を認められる。測定途中に棄権した者は×。C判定の者は、測定コースこそ泳ぎ切ってはいるが、「本番の厳しさ」を何度も説明し参加を見合わせるよう持ちかけていた。)

 

同級生のU君は泳力測定途中棄権。

彼は「どうしても伝馬船上で太鼓を叩きたい。」と申し出た。

 

 遠泳当日…

 

先頭の泳者が片道を泳ぎ終え弁天島に上陸する頃、B君はまだ行程の半分にすら到達できていなかった。しかし彼は何とか片道を泳ぎ切った。

 「よく頑張った。もう十分合格だ!」と言うわれわれの(ねぎら)いに対し、彼は首をしっかり横に振った。「帰りも行く。」

 

 帰路、先頭と最後尾の間隔は往路より遥かに長くなった。B君の泳ぎは目に見える前進を止めたようだ。しかし彼は決してギブアップしなかった。先頭集団はもちろん、遠泳参加者の殆どの者が泳ぎを終え、浜で体を温めつつ待っていた。伝馬船も、そして先輩方のボートも一漕また一槽、最後尾のB君を激励するためにコースに戻ってきた。

 

浜からとボートからの大歓声の中、B君はとうとう完泳した。

本人も周りの者も大きな感動に包まれた。B君は待ち構えておられたヒゲ先生からゴシゴシひげの祝福を受けていた。

 

 

一夜明けた朝、M君から「先生、Uの手見た?」と問われた。

第4宿舎前にU君を見つけ、彼の両掌を見た。真っ赤になった両掌の上半分は完全に皮がめくれ無くなり、肉があらわだった。痛々しいという表現では足りない傷跡だった。

「U!」彼は太鼓のばちを握り続け、力強く力強く叩き続けてくれていたのだ。

「掌がこんなんになってるのに、なんで何も言えへんかったんや…。」

 

 

「僕が出来ることはこれくらいしかなかったから…」U君はつぶやいた。

 

 

教え子たちに大きな大きな仕事を見せてもらった。

 

もう26年もたったのに、あの感動は忘れることがない。



2010/05/27 02:04 | Comments(2) | TrackBack() | 森山's Honey Bucket
ご褒美
森山’s Honey Bucket 29
 
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 5月16日日曜日中学生たちを対象に中間テスト対策勉強会を実施した。
日曜の朝というのに定刻にはほぼ皆が顔を揃えた。なかなか感心だ。
(中には寝坊さんもいたが…)
   テスト前の勉強会の雰囲気が僕は好きだ。
先日学園長がブログに綴っておられたのと同様、平素の授業とは
また違った子どもたちとのやりとりができ、それが毎回新鮮に感じられるからだ。
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  僕も含め勉強会に参加するスタッフは必ず、
「何か質問無いか?」 と子どもたちの顔を覗き込んで歩いて回る。
中にはそんなふうにかまわれることを歓迎しない子もあるだろう。
しかしそうすることが我々の意気込みの発信であるし、
何より引っ込み思案の子の質問を引き出すことのできる得策
であるから、妥協はできない。
声を掛け、首尾よく「じゃあこれ質問…」と返答が返ってくると、
「しめしめ。」と心が躍る。
7f7e3a78.jpeg











 
 

 最近厄介なのは、○眼(老○)が進み、子どもたちの開く教科書や
問題集の細かい文字や表記がにわかに読み取れないことだ。
(あっ君のブログにも「声の出せない辛さ」があったが)
この仕事は
①情報の伝達者として「声」と「表情」を豊かに発すること
②情報の受信者として「目や耳」をしっかり働かせることが 大切だ。
 ど近眼で眼鏡をはずすと50cm離れた文字が読み取れないくせに、
近眼用の眼鏡を掛けたままでは近くの文字がまったく判読できない。
ああ、まったく不便だ。
いよいよ遠近両の眼鏡のお世話にならないといけないようだ… 

 
 
 勉強会を終えた夜、天の神様からご褒美があった。
宵の夕空にたいへん綺麗に三日月と金星が並んでいた。
家族4人で自宅近くの三角公園に出て、時の経つのを忘れて見入てしまった。
 
 冒頭の写真はそのとき息子が撮った一枚。
 ここにあるのは、そのとき公園で本当に久しぶりに家族4人で撮った写真だ。
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 家族と共に美しい星空をながめ、幸せな気持ちになった。

 感謝。


2010/05/20 00:30 | Comments(0) | TrackBack() | 森山's Honey Bucket

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